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概要
ブロックチェーンを活用した医薬品売買システムの実証実験
調剤薬局同士での医薬品売買をブロックチェーンでシステム化。取引情報をブロックチェーン上に記録 し、「医薬品自体の登録履歴や発送・納品時の承認状況などの履歴」を半永久的に証明・保証。安全で効率的な流通体制を構築し、適正な在庫量を管理する仕組みの実現に向けた実証実験です。
背景と目的
85%が個人経営。寡占化していない調剤薬局が抱える課題

全国の調剤薬局数は2015年末時点で58,000店舗。高齢化により市場は拡大しており、その数は全国のコンビニエンスストア店舗数(約54,000店舗)よりも多い状況です。しかしながら、医療費削減の流れから調剤報酬の引き下げによって薬価差益が縮小し、利益率は恒常的に下落しています。さらに追い打ちをかけたのがジェネリック医薬品の普及です。常備する在庫品目数が増幅し、自ずとデッドストック医薬品は在庫を圧迫。薬局には、これまで以上に効率的な経営が必要となっていました。
そのような背景の中、2016年12月に経済産業省からの発表で、「薬局間の医療用医薬品の売買に係る、医薬品医療機器法の適用範囲」がより明確となりました。これまで仲介業者が支援してきたデッドストック解消サービスが医薬品医療機器法の適用外となり、改めてコスト削減のために慣例的に行われてきたデッドストック医薬品の譲受・譲渡サービスの拡大が、新市場として期待されるようになります。
見知らぬ薬局事業者間で取引を行う際の信頼性をどのように担保するか、手数料が高くつき利益につながらないのでは、といった懸念を前に、「手頃な料金で安定/安心した取引を行いたい」というニーズが浮上しはじめます。
また、調剤薬局市場は寡占化が進んでおらず、売上上位10社の占める市場シェアはわずか15%。それに属する大手企業は系列店舗を多く持っているため、系列店舗同士での在庫移動によってデッドストックの解消を図ることが可能です。しかし、残りの85%にあたる約49,300店舗の多くは個人経営と言われており、見ず知らずの事業者間でのデッドストック医薬品の取引に不安を感じている可能性が高いと考えられます。
当実証実験では、ブロックチェーンを活用することで、安定した取引システムを構築し、見知らぬ事業者間同士でも安心して取引ができるサービスを提供することを目的に、フェーズ1とフェーズ2に分けて検証を行いました。
実証実験 Phase 1
仮想の薬局間でのデッドストック医薬品売買を検証(2017年10月完了)
ブロックチェーンの技術的な特長である「履歴の改ざんがされにくく、高い透明性や信頼性をインターネット上で確保できる」という点を活かし、システム内の仮想通貨で取引を行い、医薬品売買を行うことを想定したシステムを構築しました。
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実証実験 Phase 2
実店舗間でのデッドストック医薬品売買を検証(2018年10月 完了)

フェーズ1の「仮想の薬局間でデッドストック医薬品の売買」システムを基に、注文キャンセル処理を追加し、取引プロセスの中にある着荷確認を薬品発送処理と薬品到着処理に分けて検証。北海道札幌市の医薬品卸事業者である株式会社モロオも参画し、同社のグループ企業「クリオネ」の実店舗で、モロオが持つ実際の医薬品卸物流網を使用する想定で実証実験を実施しました。
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