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  • 2019.04.19
  • イベントレポート

ブロックチェーンフェスに寄せられた質問に、INDETAILとして回答を考えてみた(その1)


ちょうど1カ月前に行われた、ブロックチェーンフェスティバル 2019 in SAPPORO。今回のフェスでは新たな取り組みとして、来場者の方からのリアルタイムコメントも受け付けており、パネルディスカッションに一緒に参加できるような仕組みが導入されていました。

いただいたコメントに登壇者がその場で生回答をするシーンも見られましたが、まだまだ他にも興味深い質問がたくさん寄せられているのを目の当たりにし、その場にいたINDETAILブロックチェーンチームリーダー(ベルギー出身)は、そのとき、こうつぶやきました。

ということで、全2回にわたりブロックチェーンフェスに寄せられた質問に、INDETAILのブロックチェーンチームが回答いたします。

第1回目の今回は、当日の一つ目のパネルディスカッション「組織の在り方をも変えるブロックチェーンの進化にどんな未来像を描くのか?」に寄せられたコメントより、5つの質問をピックアップし、お届けいたします。

<目次>

  1. ブロックチェーンとRDBとの違いは?
  2. 量子コンピュータにより、ブロックチェーンの技術の安全性は危険にさらされるか。
  3. プライベート型で作った後、パブリック型に変更できるか。
  4. ブロックチェーンで全てのデータを保存する必要はあるか。
  5. プライベートブロックチェーンの説得力のあるユースケースを知りたい。

1. ブロックチェーンとRDBとの違いは?

インターネット上で実行されているRDBは、ほとんどの場合、クライアントサーバーネットワークアーキテクチャを使用しています。

一方、ブロックチェーンはRDBと違って、各参加者がデータベースへの新しいエントリを維持、計算、および更新します。全てのノードが連携して、全てのノードが同じ結論に到達するようにし、ネットワークのセキュリティを強化します。この違いの結果、ブロックチェーンは分散、認証などの特定の機能の記録システムとして最適ですが、集中型データベースはそれ以外の機能に完全に適しています。
また、分散型データベースの観点でも違いがあります。まず、サーバに位置する存在がありません。分散型データベースは、クライアント-サーバ(C-S)型とも言えます。分散型データベースでは、取引情報などのデータレコードの確定(コミット)は、サーバが「独占的に決定」しているのに対し、ブロックチェーンにはサーバがなく、「クライアント」に相当するのが「ノード」となり、各ノードは同等の立場で取引情報を自己申告をしているという点が異なります。

さらに、分散型データベースではトランザクションの順番は、サーバが一元的に決定しますが、ブロックチェーンでは、非同期的にトランザクションが自己申告され、トランザクションの確定に「コンセンサスアルゴリズム」という手法が用いられます。

2. 量子コンピュータにより、ブロックチェーンの技術の安全性は危険にさらされるか。

ブロックチェーンのセキュリティは、「一方向」の数学関数に依存しています。これらは従来のコンピュータでも実行するのは簡単で、逆方向に計算するのは困難です。そのような関数は、ブロックチェーンのユーザーが他人に対して自分自身を認証することを引用するデジタル署名を生成するために使用されます。これらは簡単に確認でき、偽造するのは非常に困難です。それ以外にも、一方向関数は、ブロックチェーン元帳の取引履歴を検証するためにも使用されます。

それでも、量子コンピュータはこの10年以内に、インターネットと金融取引を保護するために使用されるブロックチェーンを含む一方向性関数を計算できるようになると予測されています。今後、広く展開されていく一方向暗号化はすぐに時代遅れになるでしょう。
それだけを考えたら、一方向機能が唯一の防御策であるため、ブロックチェーンは危険にさらされます。しかし、その一方で、量子技術はブロックチェーンのセキュリティとパフォーマンスを向上させる二つの機会も提供します。

量子セーフ暗号化

一つ目は、量子セーフ暗号化です。量子通信は本質的に認証されています。そのような技術は、ビットを符号化しそれらを伝達するために個々の光の粒子(光子)の状態を使用します。基礎物理学では、量子状態は変更せずにコピーまたは測定することはできないと規定されています。よって盗聴者はすぐに発見されます。
量子暗号は、古典的なデジタル署名に代わるもので、ブロックチェーンネットワーク内のすべてのP2P通信を暗号化するために使用できます。

量子インターネット

二つ目は、量子インターネットです。ブロックチェーンデータの通信処理および計算処理に量子テクノロジーを使用すると、セキュリティがさらに強化され、ブロックチェーンをより高速かつ効率的にすることができます。このステップには、「量子インターネット」が必要です。量子通信ネットワークを介して量子コンピュータを接続します。そして、完全に量子ブロックチェーンを実行することが可能になるでしょう。これにより現在の検証とコンセンサスプロセスのいくつかの計算集約的なステップを迂回することができ、より効率的でより安全になります。

3. プライベートブロックチェーンで作った後、パブリックブロックチェーンに変更できるか。

プライベートブロックチェーンからパブリックブロックチェーンへの変更は難しいです。両方とも独自のメリットがあるとともに、構成が違って、導入にさまざまなチャレンジが必要です。

パブリック型の場合は、ブロックチェーンの仕様変更を行う際に、マイナーの賛同が必要ですが、プライベート型の場合は管理者の決定で自由に変更を行うことが可能です。そのため、より柔軟なシステムの構築ができるでしょう。また、プライベート型の場合は、新しい技術の検証などがしやすいため、プライベート型で実証したものをパブリック型にマイグレーションするといった利用の仕方もあるでしょう。

しかし、それはEthereumのように、プライベートとパブリックの両方の構成があるブロックチェーンの場合のみです。コンソーシアム型ブロックチェーンの場合は、それは不可となります。

4. ブロックチェーンで全てのデータを保存する必要はあるか。

ブロックチェーンは、全てのデータを保存するのには向いていません。

一つ目の理由は、データが多ければ多いほど、トランザクションの速度が下がり、その結果、読み取りの時間が増えてしまうためです。例えば、パブリックEthereumにデータを保存するのは従来のシステムよりも時間がかかり、トランザクションごとにコストもかかります。技術的には可能ですが、ブロックチェーンネットワークに大量のデータを保存するのは得策とは言えません。データ量の問題を解決するためには、データ管理の分野に特化した他の優れた分散型テクノロジーを採用するべきでしょう。

しかし、決済などか絡むすべての取引については、私たちはパブリックEthereumネットワークに完全に依存しています。パフォーマンスを向上させるために、私たちはより良いトランザクションのスケーリングのためにRaidenネットワークを利用し、そしてより高い転送速度をプラットフォームユーザーに提供できることを確認するために使用します。

これらのオフチェーンテクノロジーを使用することで、パブリックEthereumネットワークのトランザクションのスループット、速度、および全体的なスケーラビリティを向上させることができます。

二つ目の理由は、ブロックチェーンに個人データが含まれる場合は、それを消すことができないということにあります。その場合、個人データを保存するには他の分散型データベースを使用するのが適切です。

5. プライベートブロックチェーンの説得力のあるユースケースを知りたい。

現在、小売・流通業(消費者への日雑品・食品の流通)のサプライチェーンの高度化に対し、プライベートブロックチェーン技術の適用も増えつつあります。いくつかの事例を紹介します。

IBM Food Trust


IBMによる、食品(特に農業・畜産業)の信頼性と透過性を高めるためのプロジェクトがあります。食品流通の複雑さに対し、ブロックチェーン技術を用いることで可視性と説明責任を生み出している、としています。このプラットフォームは、オープンソースのコンソーシアムブロックチェーンの「Hyperledger Fabric」をベースにして構築されています。このプロジェクトでは、特に「安全性」「鮮度」「廃棄の削減」「持続可能性」にフォーカスを当てています。
https://www.ibm.com/blockchain/solutions/food-trust

WWFニュージーランド:Where does your fish come from?


WWFニュージーランドによる海洋保全活動の一つとして、持続可能な漁業の実現のための活動を行っています。Viantと共同で太平洋のマグロにQRコードによるタグ付けをし、その情報をブロックチェーンへ記録することで、「そのマグロが適正な時期に捕られたものか」を判別できるようにします。これによって、マグロを「海からディナーまで」追跡可能にしています。このプラットフォームは、「Ethereum」をベースに構築されています。この取り組みは、2017年12月後半より開始となっています。
https://www.wwf.org.nz/what_we_do/marine/blockchain_tuna_project/

IBM x Maersk:貿易プラットフォーム「TradeLens」

IBMと物流大手のMaersk(マースク)により、国際貿易プラットフォーム「TradeLens」が発表されました。2018年8月時点で94を超える企業や組織が参画中、もしくは加わる計画であるとも発表しています。このプラットフォームは、オープンソースの「Hyperledger Fabric」をベースにして構築されています。
ベータプログラムとしてスタートした「TradeLens」は、最大のメリットとして「輸送時間を40%短縮できる」としている一方、取引先のシステム成熟度の影響で、ペーパーレス取引についてはまだ達成できていないとしています。2019年現時点ではすでに一般提供もされています。
https://www.tradelens.com/

次回へ続きます

次回は、パネルディスカッション2「地方経済の衰退をブロックチェーンでブロック!? 地域活性化とマーケティングへの活用方法とは?」に寄せられた質問へ回答いたします。

なお、ブロックチェーンフェスティバル 2019 in SAPPOROのレポートは、BHIPが運営する「ブロックチェーンオンライン」にて公開中です。ライブ配信のアーカイブもご覧になれますので、あわせてチェックしてみてください。

【レポート&資料公開】ブロックチェーンフェスティバル 2019 in SAPPORO | BlockChain Online ブロックチェーンオンライン
https://blockchain-jp.com/event/2934

ともに世界をアップグレードできる、そんな日を夢見て。
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