- 2018.07.04
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【IBMイベントレポート】Hyperledger Fabricによる開発実例 -企業内資産管理サービス等の3つのユースケース
弊社は、2018年6月11日、6月12日の2日間に渡り、品川のグランドプリンスホテル新高輪で開催された日本IBM主催のイベント『Think Japan』に参加し、ブロックチェーンをテーマとした展示出展に加え、弊社代表の坪井がセッションやミニシアターでいくつか講演をさせていただきました。
当日は台風の接近という生憎の悪天候で、電車の遅延や飛行機の欠便など会場アクセスへの影響が心配されましたが、2日間で約5,000名の方が来場されたようです。
本日は、その様子をご紹介します!
IBM Think Japan とは?
『Think Japan』は今押さえておくべきテクノロジーを幅広く網羅し、ITに関する最新情報の入手とネットワーキングの機会が提供される日本IBMが主催する国内最大級のITカンファレンスです。
開催日によって来場対象者が異なり、ターゲットに応じた企画が用意されていました。1日目「Think Japan IBM Code day」はエンジニアなど「技術を使う立場の方」向け、2日目「Think Japan IBM Business and Solution Day」は「技術をビジネスに活用する立場の方」を中心に、最新の技術情報に興味関心の高いさまざまな層の方々が参加していました。
セッション会場と展示会場に分かれており、弊社はその両方に参加。セッションを聞いて興味を持ち詳しくお話を聞きたいといった方もブースにたくさん訪れてくださいました。
業界ソリューション先進事例としての展示
展示の方は両日共に、ブロックチェーンなど先進技術をテーマとしたソリューションコーナーにブース出展し、弊社のブロックチェーンチームがお客様のご質問や弊社の取り組みについてのご案内を致しました。
500名近い聴衆が集まった弊社代表の坪井のセッション
セッション会場では1日目のCode dayの夕方の部で、弊社の代表の坪井が登壇し、「Hyperledger Fabricによる開発実例-企業内資産管理サービス等の3つのユースケース」のタイトルで講演をさせていただきました。
1.医薬品のデッドストック販売プラットフォームPoCのご紹介
本デッドストック解消サービスPoCは、ブロックチェーンの技術的な特長である「履歴の改ざんがされにくく、高い透明性や信頼性をインターネット上で確保できる」という点を活かした、調剤薬局におけるデッドストック医薬品売買サービスの構想実現に向けた実証実験です。
その構想の中でも「販売」に関する一部機能を切り出し、ブロックチェーン技術を用いてシステム構築し検証を行うことで、本構想の実現の可能性を探りました。
薬剤薬局は常備薬の増加に伴い、デッドストック医薬品の在庫が経営を圧迫しているのが現状です。
これまで仲介業者が支援してきたデッドストック解消サービスが医薬品医療機器法の適用外となり、改めてコスト削減のために慣例的に行われてきたデッドストック医薬品の譲受・譲渡サービスの拡大が、新市場として期待されています。一方で、すでに信頼関係のある調剤薬局間「以外の事業者間で」取引を行う際の信頼性をどのように担保するかという点が課題となっておりました。
そのような背景を踏まえ、ブロックチェーンの技術的な特長を活かすことで、市場のニーズにお応えするサービスを提供できる可能性があると考え、本企画の立案に至りました。
今回の実証実験により、検証範囲の機能を満たすには十分な成果が出ており、デッドストック医薬品の売買の実運用が可能であると考えます。
今後は実際の物流を交えたPoC Phase2、Phase3と実証実験を重ね、引き続き実用化に向けてプロジェクトを進めていく予定です。
2.企業内コミュニケーション活性化サービス「Thanks!」
「Thanks!」はブロックチェーン技術を活用し、企業内仮想通貨を用いて感謝の気持ちを伝えるサービスです。
<使用例>
①社内でわからないことを教えてもらった
②お礼の気持ちとして社内通貨「Like」を送る(コインを送る)
③ブロックチェーン上のアカウントに紐付いたコインが蓄積され送り合うことができる
貯めたコインを社内表彰や社内購買などに使用するなどといった、様々な用途での活用を想定しております。
さらに本サービスの開発にあたっては、デッドストック解消サービスで活用している仮想通貨取引プラットフォームの拡張性を確認、サービス実装の容易性や実現性を確認しております。
3.企業内資産管理サービスツール「Nebula」
「Nebula」は企業内のあらゆる物理資産を簡単かつ安全にシェアすることが可能となるシステムです。ブロックチェーン技術の特性である高い透明性と追跡性を活用し、企業内における資産管理を容易に実現、さまざまなアイテムのトレーサビリティも実現します。
アイテムの現状の状態や誰が使用したかを一覧で確認することができ、ICタグを連動することで貸借の際に発生する社内承認に連動して自動的に貸し出し許可(ロック解除)を行うなど、社内の煩雑な処理を簡潔化します。
こちらは現在開発中で、今後社内外での実証実験をすすめる予定です。
ブロックチェーン開発をこれから始める組織の皆さんへ
「ブロックチェーン案件の開発に取り組みたいが、組織として何から始めたら良いかわからない」そのような悩みを持つ開発会社は多いと聞きます。
弊社ではブロックチェーン技術の学習を初めてからおよそ2年に渡り、これら3つのプロジェクトを実践学習として活用しながら技術者育成と社内の開発ノウハウの蓄積を行ってきたことで、現在ではブロックチェーン実案件の獲得を実現するまでにチームが育ちました。
同じような悩みを持つ企業・組織の皆さんに、弊社の取り組みをひとつの事例として参考にしていただけますと幸いです。
セッションには約500名のお申し込みがあったそうで、大変多くの方にお聞きいただき大盛況で終えることができました。
また、このセッション終了後には弊社の展示ブースへ「セッション見てきました!」と多くのお客様が足を運んでくださいました。もちろんそれを見越してブースには多くの人員を配置していたのですが、セッション直後はあまりの混雑に人手が足りなくなるほどで、スタッフ一同うれしい悲鳴をあげながら、精一杯対応させていただきました。
最後に
今回は多くの方にブロックチェーンやINDETAILに興味持っていただけるとても良い機会でした。 訪れたお客様から様々なご意見をいただき、また今後のブロックチェーンの未来についてのお話もたくさんさせて頂き、学びのある2日間を終えることができました。
今後も弊社ではブロックチェーン事業に力を注ぎ、さらなる挑戦を続けてまいります。