海外のIT教育事情を調査!日本のプログラミング教育はどうなる?
はじめに
時々、弊社のブログでも登場している Raspberry Pi。もともとは、学校でのプログラミング教育の教材向けに、イギリスで開発されたものだそうです。
イギリスやハンガリーなどのIT教育先進国では、既にプログラミング教育の必修化が始まっており、なんと5〜6歳の段階から、インターネット検索や、アルゴリズムの基礎概念を理解する授業があります。
日本でも、2020年から小学校でのプログラミング教育必修化が検討されていますね。
今回は、海外のIT教育事情をもとに、これからの日本のプログラミング教育について、ほんの少し考察してみたいと思います。
海外のIT教育 - イギリス
イギリスでは、平成26年から従来の教科「ICT」をあらため「Computing」という教科を取り入れました。学習分野を以下の3つのカテゴリーに大別し、小学校〜高等学校まで、系統的に学習します。
- コンピュータサイエンス(CS)
- 情報技術(IT)
- デジタルリテラシー(DL)
教育体系が変わったばかりという事もあり、教員不足などの課題も抱えていますが、国からの補助も手厚く、これからの進化が期待されるイギリスのIT教育。
日本が見習うべき点は、たくさんありそうです。
海外のIT教育 - スウェーデン
続いてはスウェーデン。弊社にスウェーデン出身の社員がいるので、ピックアップしてみました。
現在、義務教育段階でのプログラミング教育は必修化されていませんが、上級中等教育(日本での高等学校)の職業訓練専門コースの一部に「Programming」があります。
またスウェーデン政府は、ICT(*注1)リテラシーを、読み・書き・計算に次いで四番目に大切な基本スキルだと宣言しています。
ちなみにスウェーデンやフィンランド、イギリスなどは義務教育期間の教育費が一切かかりません。全て国が負担してくれます。
*注1:ICT・・・ITとほぼ同義語。海外や公共事業の場では、ICTが使われることが多いようです
海外のIT教育 - イタリア
イタリアでは2014年9月から、小学校にプログラミングを導入する、任意参加のプロジェクトが立ち上げられました。3ヶ月で公立学校の1割強が参加しているとの事なので、現在はもっと数が伸びているかと思います。
そのプロジェクトの目的は、以下のように定義されています。
全員をプログラマーにすることではなく、現代社会を理解する科学的知識の基礎を広めることにある。運用システムや情報技術を支える原理を理解することは、電気や細胞がどのように機能するかを理解するのと同様に重要なことである
プログラムを書けるようになる事が最終目標ではなく、その先にある、現代社会の技術を支える原理を理解する...日本でプログラミング教育を取り入れる際にも、ぜひ意識してほしいものだと思います。
私自身も、普段仕事をするなかで、自分たちの技術で作ったシステムが世の中の一部を支えているんだなぁと、あらためて考えることができました。
まとめ
今回参考にした調査報告では、23の国・地域を対象に、プログラミングを中心としたIT教育に関する調査がなされていました。どの国も、IT分野の激しい状況変化に合わせて、比較的柔軟に教育システムを整えているようでした。
この点、日本の教育は、立ち上がりの早さや柔軟性に欠ける印象はありますが、ようやく世界と足並みを揃えようと動き出しています。
従来の教育体系や国民性・国のサポートなどを考えると、そっくり海外のシステムを真似するだけでは難しいですが、子どもたちが楽しく生き生きとプログラムを学べるような環境を、少しでも早く用意してあげられたら良いな、と心から願います。
参考
文部科学省:「諸外国におけるプログラミング教育に関する調査研究」報告書(平成26年度)
http://jouhouka.mext.go.jp/school/pdf/programming_syogaikoku_houkokusyo.pdf